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浮かれたり、喜んだり、落ち込んだり、拗ねたり。 ただオムライスを作るだけなのに ほんとに、忙しいやつだな。 やっと出番が回ってきたピンクのエプロンをつけて コロコロと表情を変える結衣は 本当に見ていて飽きない さっきまで上手くできなかった卵にしょんぼりしていたのに 今は相変わらず口いっぱいにオムライスを詰め込んで もぐもぐと最高に幸せそうな顔をしている ずっと見てられる。 あっという間に皿を空っぽにした結衣は 満足そうにお腹をさすっている 2人で並んで洗い物をして 俺は白と黒のマグカップにコーヒーを入れて ベランダに向かう 結衣は椅子を2つ並べていておいてくれる 相変わらずコンクリートの壁に向かって並び 一服する。 いつものルーチン。 ゆらゆらと空に登っていく白い2本の煙を眺めながら 「結衣」 「ん?」 「また一緒に作ろうな。」 「オムライス?」 「オムライスだけじゃなくて、色々。」 「色々教えてくれる?」 「練習な。」 「うん!」 と少し照れ臭そうにはにかむ結衣。 「あ、」 とさっさと部屋の中に戻っていく。 「どした?」 と声をかけるがもう聞こえてないのか返事がない。 どっからかノートを引っ張り出してきて ローテーブルに広げる結衣。 俺もタバコの火を消して 「何書いてんだ?」 「作り方、忘れないように。」 「忘れるほどのことなかっただろ。」 「いーの。全部書いておくの。」 と思い出しながら、ノートにオムライスの作り方を記していく結衣。
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