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モヤモヤしたまま翌日を迎えた。
ヤバいな。
暫く、酒は飲まないで置こう。
普段もあまり飲まないのに一昨日は繁さんに勧められ飲みすぎて、情けない事に酩酊状態にまでなってしまった。そして、未だに黒いヘアゴムの謎が解けないままだ。
蒔田医院の駐車場に車を停めて、従業員通用口から中に入った。
通用口のそばにあるロッカールームに寄り、背広の上着を脱いで、白衣を羽織った。
白衣を着ると気持ちが切り替わる。
ロッカールームを出て内科の診察室へと続く廊下を歩いていると伯父に呼び止められた。
「三崎先生、ちょっと時間いいかね」
「はい、医院長、大丈夫です」
蒔田医院長は歩きながら話を進める。
「昨日で辞めた岩田さんの代わりに今日から新しく入った看護師を紹介しようと思ってね。診察が始まる前の方が、スムーズだろ?」
医院長室に入ると、既に新しい看護師は来ていて、長椅子から慌てて立ち上がった。
「今日から蒔田医院の内科のメンバーになった看護師の佐藤さんだ」
「佐藤夕梨です。よろしくお願いします」
170cmはあるだろう、モデルのようにスラリとした大人の女性だった。一瞬目が合ったが、直ぐに挨拶で頭を下げた。
「内科医の三崎です。よろしくお願いします」
「えっ? みさき……先生?」
と、目を見開き驚いた顔で俺の事を見ている。
落ち着かない気持ちになり聞き返す。
「あの? なにか?」
「いえ、すいません。知っている人とよく似ていたので、失礼しました」
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