64人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
【Act.10】
「あの……このSDカードと一緒に伝言を託ったんですけど……」
ディスプレイから目を離さないケーコさんの様子を伺うように、問いかけた。
ケーコさんは知ってるのかな?
「【SEVEN’s HEAVEN】で待ってるって仰ったんですよ、彼」
彼女の画面を撫でていた親指が止まった。
そして、ゆっくりと私に視線を移した彼女は、訝し気に眉間に皺を寄せ、首を少し傾けた。
「それ何処? てか、ラブホの名前かなんか?」
「いや……私も、ただ伝言されただけなんで……」
確かに、ゲームを知ってる私だから【SEVEN’s HEAVEN】は街だと真っ先にイメージしたけど、ゲームを知らない人に取っては、ラブホの名前のようにも聞こえたりするのかも?
ましてや、ケーコさんに気のあるカモちゃんだから、――【第7の天国】――そう言う期待も込めて言ったのかなぁ?
「あぁーやだ! 画像だけじなく、わけわかんない場所で待ってるって、怖すぎない?」
ブルッと身を震わせたケーコさんが、スマホを閉じた。
そして、【SEVEN’s HEAVEN】が何かわからない消化不良な私を他所に、腕に掲げてた【Louis Vuittan】のバックにスマホを入れた。
それが、この奇妙な話はおしまいだよと言われているようで、私も、消化不良な感じを抱えつつ、スタッフルームのドアに向かったケーコさんの後を追った。
最初のコメントを投稿しよう!