エピローグ

1/1
838人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ

エピローグ

1週間後。 朝の身支度をしながら、結婚式の衣装合わせが始まるという話をサラから聞かされていた。 「南塔3Fの応接間で、来週から行われるそうです。同時刻にエリオット殿下も、隣室で試着されるそうですよ」 「ああ・・・ものすごく時間が掛かるというアレね」 他国の王族も招待する結婚式は、国の威信をかけて行うため、王族が結婚式に衣装を着飾るのは、もはや伝統行事でもあり、何十着も試着するのは今から考えても憂鬱だった。 「今回のお針子達は、正確に素早く作業が出来ると聞いておりますから、それほどではないかもしれませんよ」 「そう願うわ。ねぇ、サラ。マリッジ・ブルーとか、そんな言葉・・・聞いたことあるかしら?」 「ああ、あの・・・結婚前に憂鬱になるとか、そんな感じの・・・」 「今から衣装合わせを考えるだけで、かなり憂鬱だわ・・・だって着た後は胃が痛くなって、大したものは何も食べられないし・・・」 「食いしん坊なだけなのでは?」 「そんなことないわ・・・本当に大変なのよ。苦しいままジッとしているのは・・・そう言えば、招待するのは、アーリヤ国とメイソン国の王族で合っていたかしら?」 国の伝統行事ではあるが、大規模な結婚式にすると、かなり予算が掛かってしまうため、最近は隣国の王族だけを招待をしている・・・といっても、それだけで十分に大規模な結婚式になってしまうのだが。 「ええ。トラスト国にも招待状を出しましたが、来られないそうですよ・・・噂では城内で何か揉め事が起こっているとか・・・」 (まさか、私と同じで断罪イベントが起こっているとかじゃないわよね・・・) 「そう・・・トラスト国の方には、まだ会ったことがないけれど、残念ね」 数日後・・・また新たな事件に巻き込まれるとは、このときの私は微塵も思っていなかったのである。         ♢♢♢2巻へ続く♢♢♢
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!