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いちゃいちゃ
月曜は朝から落ち着かなかった。ポリープの生検の結果が分かる。自分でも早く知りたいような知りたくないような。
「こら、早く着替え持ってきてくれ」
「あ、ごめん」
蓮は苦笑している。オタオタするなら、それは自分であるべきだ。なのにジェイがそわそわしすぎているから気が気じゃなくてそれどころじゃない。
薬を飲むときには薬を渡してくれたはいいが、水を床にこぼしてしまいベッドの下に潜って床を拭いた。挙句に頭を上げるのが早くてベッドにぶつけてしまった。
「まったく! 落ち着きのないヤツだな!」
「ごめんなさい」
痛い思いをしたのはジェイなのに謝らせてしまった。ちょっと悔いが残っている。
「さっきのとこ、どうだ? まだ痛いか?」
「大丈夫、そうでもない」
「ちょっと来い」
頭をそっと触った。
「大丈夫だ。良かったよ、それで済んで」
そこでやめておけばいいのに、心にゆとりがあるせいか余計なことを言ってしまう。なんだかイタズラしたい気分だ。
「出来れば『eccentric』で留まってほしいからな」
「なにが?」
「天然を超した『eccentric』だろ? 頭打ってその上になるかもって思ったんだよ」
「その上って、なに」
その辺りですでに膨れている。
「宇宙人」
「バカぁ! 蓮なんか嫌いだ!」
ジェイはにやにや笑っている蓮が憎たらしくなっている。
蓮はちょっと下を向いた。
「そうか…… 嫌いか。いいよ、帰っても。お前をずっと縛り付けてるよな」
ジェイが慌てるのが分かっていてそう言う自分は本当に人が悪いとは思う。だが反省するより今はジェイで楽しみたい。
「ごめんなさい! 嫌いじゃないよ、違うよ、本気じゃないから!」
「……ホントか?」
「本当だよ。結婚してるんだもん、そばにいるの当たり前だよ。蓮を置いて帰るわけ無いよ!」
愛の確認ができて満足した蓮は両手を広げた。胸に飛び込んでくるジェイ……の前に、ノックの音がした。
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