親衛隊に悩まされる生徒会長様

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「全くお前は……、少しは大人しくできないのか? 大体お前は昔からそうだ。 厄介ごとに首を突っ込んでは無自覚にトラブルを連れてきたり……、おい、聞いてんのか?」 「聞いてます……」 俺は風紀室で蓮の説教を聞きながらげんなりとしていた。風紀に太陽を任せた後、今回の事情を聞かれた俺はそのまま風紀室にドナドナと連れて行かれた。 そしてそこに待ち受けていたのは、目が笑ってないのに不自然に口角をつり上げた風紀委員長様。厄介ごと運んで来やがってどう落とし前つけんだよ、あぁん? 的なことをその目から感じた。 そして始まるお説教1時間耐久レース。くどくどと今回のことに始まり、過去俺が起こしたと思われるトラブルについてのことまで遡り、やれ危機感を持てだ、もっと慎重に動け、そのトラブル体質をなんとかしろ、など後半俺はもはや、ああ、うん、わかった、と相槌を打つ機械と化していた。 大体トラブル体質って何だよ。俺はそんな如何にもアニメや漫画の主人公が持ってそうな体質は知らないぞ? 俺がそんなことを考えてるうちに話はどうやら今回のことに移り変わったようだ。 「あの転校生はまた面倒なことを起こして……。アイツも一応生徒だ。誰がこんな事をしたのか風紀として調べる必要がある。 ……まあ、自業自得と思わなくもないがな」 疲れたような顔をする蓮に、正気に戻る前の事もあって、太陽関連で迷惑を掛けるのを本当に申し訳なく思ってしまう。 俺も何か協力したいが……。 「そうだ。太陽が呼び出された件に俺の名前が使われていたがどう思う?」 「ああ、そのことか。単純にお前の名前なら確実に誘き寄せることが出来ると思ったのか、それともまた別の考えがあるのか……。 現時点では何故お前の名前が使われたのか判断できん。……なるべく早く犯人を見つけるがお前も気をつけろよ。」 「俺も?」 「犯人は転校生に恨みを持っているかもしれないが、その動機としてお前が関わっている可能性は高い。わざわざお前の名前で呼び出したんだ。可能性としては十分だろ。……そんな犯人が正気に戻ったとはいえ転校生を気に入ってたお前に可愛さ余って憎さ百倍とならなくもない。俺の予想では太陽への嫌がらせはエスカレートしていくだろう」 「何でそう思うんだ?」 「今転校生の周囲には生徒会は居ないだろ? お前が〆たことで仕事を始めたアイツらは転校生と関わることが減っている。そこをこれからもつけ込まれるだろう」 「そんな……」 太陽とアイツらを引き離したのは間違いだったか? いや、そんなことはない。あのままズルズル仕事しないでそのままだったら、絶対良くない結果になっていただろう。太陽の側に瀬名たちをもう一度置いておくのもまた親衛隊を刺激する羽目になるから却下だ。 ううーん、どうするか。 「お前は正気に戻っても転校生ばっかだな……」 「……ん? 何か言ったか?」 ポツリと思わずこぼれたような声量だったせいか蓮が何を言ったのか聞き取れず尋ね返したが、蓮は不機嫌そうにこちらを睨むだけで返答はなかった。 「はあ、もういい。とにかく油断はするなよ。……ほら、帰った帰った」 「え? ……って、ちょ、おい、そんなに押すなよ……!」 ポイッと風紀室の外に追い出された俺はドアを叩くも返ってくるのはシーンとした反応だけ。諦めたがどこで蓮の地雷を踏んだかわからず、俺は首をかしげながら風紀室を去って行った。 「……アイツが転校生ばっか気にしてるからって、っく、子供かっ、俺は……」
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