5月20日

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5月20日

「ひっ、一目惚れですっ!好きです!付き合ってくださいっ!」 思いの外、声を張ってしまった私の言葉は、駅構内の一角で響いた。 通り過ぎた高校生達に「うわ、ウケるー」と笑われてやっと、やっちまったな自分と気付く。 ここに連れてきた時よりも更に赤くなった顔を上げると、告白の相手は困惑したような表情で首の後ろを掻いていた。 「あ、あの私、いつも電車の中で見てて、それで」 「すみません。急にこんな風に告白されても...。まず名前も知らないっていうか。だから...」 そりゃそうだ。 そう思うに決まってる。知らない人にいきなり駅の隅っこまで連れてかれて好きだと言われたら私だって同じこと思う。 はあ?って。 いやあんた誰、ってなる。 こんな結果になるなんて誰だってわかるのに。 こんな大胆でまぬけなことしてしまったのは、全部私がバカだったということと、あのインチキ占い師のババアのせいだ。 「どうもすみませんでしたーっ!」 呼び止めるような声が聞こえたけど、私は猛ダッシュで駅の西口まで走り、彼の前から姿を消した。
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