1.山崎葵、お見合いするってよ

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 ……ピピ、ピピピピ、ピピピピ! 「……はっ!」  頭の上で目覚ましが鳴っている。 「…………」  ということは今のは夢だ。  なんという夢を見てしまったのだろう。私は慌てて目覚ましを止め、それから右を向いた。  そこには絶世の美男子が静かな寝息をたてて眠っている。  私はほっと安堵の息を吐き、それからじっとその寝顔を見た。  彼は山崎葵。  クソ真面目な私の人生で、初めて出来た彼氏だ。  付き合い始めたのは去年の夏の終わり。  それから丁度1年が経とうとしている。 「……ん」  綺麗な長い睫毛が震え、その双眼が薄く開かれた。 「おはよ……莉緒」 「おはようございます」  いつまでも悪夢を引きずっている場合ではない。今日も私たちには仕事がある。  朝食を作るべく、無駄に広いキングサイズのベッドから起き上がろうとすると、右の手首を引っ張られた。 「わ!」 「もうちょっと寝ててもいいだろ」 「何言ってるんですか。もう朝食の支度をしないと」 「あー……じゃあ、少しだけ」  そう言って顔を近づけてきたので、私は両手でその胸を押し返した。 「おまえな」 「朝からそんな破廉恥なこと出来ませんから! ほら、起きますよ!」 「くそ真面目め」
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