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「知らなくて当然ですよ。あなたは華の女王だったほどのお嬢様なのですから……しかし、僕は自分の仕事のパートナーになってくれるような女性を求めています。仕事も家庭も子どももすべてを手に入れるために婚活デートしている方ならば、理想の女性と知り合えるかと思ったんです。ですから……」
ガレット氏は壁にドンした手を離し、私のあごに触れていた指先も離し、頭を下げた。
「自分の理想ばかりを言ってしまって申し訳ない。シムネル嬢ほどの深窓の令嬢にビジネスパートナーになってほしいなどと無礼を申しました」
しかし、と。ガレット氏は顔を上げ、とっても魅力的な笑顔を私に向けてきた。
「しかし、あなたのような素直な、すれていない……誰の手垢も付いていない女性に出会うのは初めてで……自分でも信じられないことですが年甲斐もなくときめいています」
えっ?今、何て言ったの?
素直ですれていなくて……年甲斐もなくときめている?
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