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隣の席になったからといって、今まで喋ったことのない男子と突然会話ができるようになるわけではない。
この席にいると、頬を染めた女子たちがたまに、伊月くんと話そうと挑戦しに来るけれど、いずれも迷惑そうな顔で対応されるだけだった。
一部では、女嫌いなんじゃないかと囁かれていたけれど、私には少し違うように思えた。
伊月くんは、休み時間はいつも窓の外を見ながら、イヤホンを耳に当てて音楽を聴いている。
隣の席になってから気がついたことだけれど、音楽を聴いている間は、少し表情が穏やかで。
女嫌いなんじゃなくて、気持ちよく曲を聴いている時に邪魔されたようで嫌だったんじゃないのかなぁ……。
私はいつも、彼が何を聴いているのかが気になっていた。
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