窮地

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窮地

------ あーあ、お腹痛かった! ほんま災難やったわ… お腹痛いわ、鞄忘れるわ… 何回ダッシュしたことか。 響には悪いから、先に公園に行ってもらった。だってさ?せっかく旅行来てるのに、トイレとの往復可哀想すぎるやろ。 しかもダッシュ 申し訳ないことをした。 お腹もスッキリしたし、今日の晩飯は何やろうか?と呑気に考えて、無事見つかった鞄を回収して公園まで行こうとしていた。 トイレの前は駅前の広場みたいになっている。 そこでキョロキョロしてるおばあさんを見つけた。うーーーん。響はもう向こういってるし、少し待たせても大丈夫かな 「おばあちゃんどないしたん?」 「ん?あぁ…ちょっとね、孫の家に行きたいんだけど、ど忘れしちゃってね…」 あらら あたしこの辺知らんけど、大丈夫かな 地図にはわかりやすく丸印がついている 「ここ行きたいの?」 「あぁ、そうじゃよ。この辺だと思うんだけど」 おばあちゃんが持つ地図には、シンプルに伸びた真っ直ぐの道に、丸印 そして部屋番号まで書いてある。 「なぁなぁ、あれちゃう?地図的にすぐそこのマンションやと思うけど!見覚えない?」 少し行った所の大きなマンションを指差す。 すると、何か思い出したかのように、ぁあ!と声を出しておばあちゃんは笑った。 「やだねぇ、年になるとど忘れしちゃうよ。ありがとね、お嬢さん」 トコトコとマンションに入るまで見守る。 少ししても出てこないから、きっと辿り着けたはずやな。 よし、あたしも公園いこーっと 傘をもって公園の方へ歩こうとすると、前から紗羅ちゃんが来た。 あら、やっぱあたし遅かった? おーーいと手を振ろうとしたら、紗羅ちゃんが男に囲まれた え… 「ま、待って」 紗羅ちゃんのそばに駆け寄ると、男は4人組 ナンパ?流れるような動きに思考がおいつくのに時間がかかった。 「ちょっと俺らの暇つぶしの相手になってよ」 「や、やめてください」 「だから待てってば」 紗羅ちゃんの肩を抱く男を無理矢理引き剥がす。 「ナンパにしては強引すぎひん?」 「はー?なんだよ、お前が相手してくれてもいいんだぜ?」 「んーー相手してやれんこともないけど、予定あるしなぁ、あたし」 お前らに構ってる時間はない。早くあたしは、ウサギと戯れたいんや! 紗羅ちゃんの腕を引いてその場を離れる。 なんやねん、あの強引な奴ら。 うっとおしいわ
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