The talent blooms

土曜日の午後、ピアノの音が鳴り響き始めた。

ドドドーードドドーードレミファソラシド、ドドドーー

最初は音出しから始まって、
始めはクラッシックの練習曲、そして、ウィンダム・ヒル・ピアノ・セレクションの中から、私が大好きな「A MORNING WITH THE ROSES」を弾いている。

弾いているのは私の夫である響さんだ。
昔、音楽活動をしていたこともあって数年前にピアノを始めたのだ。
始めはピアノの先生に習っていたのだけど、クラッシックばかり、練習曲ばかりのレッスンに飽きて半年ほどでやめてしまってからは、自分で好きな曲を毎週弾いているのである。

楽譜をたよりに映画音楽とかドラマの主題歌やアニメソングなども弾いたり、また、インターネットで聴いたJazzピアノの古い名曲を耳コピして弾いたりしていた。

そして、最近になって、聴いたことのない曲をポロンポロンと弾き始めたので「なんの曲？」と聞いたら
「昔作った曲」
と言って続きを弾き始める。

私はせっかくだからと思ってピアノについている録音機能を使って録音してみた。

ピアノの練習が終わったあと、録音した曲を自動演奏させて聞いていた。

「まだまだだねー」
響さんがちょっと照れ笑いをしながら聞いていた。そして、演奏を止めて、ピアノも閉じてしまった。