青山 美夕(Miyu Aoyama)

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「ないとぉお〜〜〜〜〜!!! 遅くなってごめんねぇええ!!!!」 はーーっ、息切れるっっ!! 保育園のお迎えの時間とっくに過ぎてたから、チャリぶっとばして保育園きたよぉお!! あたし生保レディしてんだけど、保険金支払いの方じゃなくて契約取ってくる営業の方してんのよ。んで、損害保険会社が対応ミスって契約者ブチギレで、こっちにハレーションきたわけ! あたし2時間保険会社の文句聞かされたからね!?保険会社の担当に直接言ってよ〜〜〜!! そんなわけで、王斗のお迎え遅れました★ やだもう、ごめんっっ!!! 「かーちゃん遅い!!!」 案の定、王斗がひとりぽっちで保育園で待ってて、もうほんとごめん、まじでごめん! 「王斗ごめんって!ママ仕事大変だったのー!てか、きいてぇ〜〜〜!!」 「やだ、かーちゃんの話わかんないもんっ!」 「王斗つめたーーいっっ、」 ぎゅーーーーーっと王斗を抱きしめたまま、ハッッ!!!先生の存在忘れてた!! あたしは王斗をだっこしたまま、ドドドドッと先生のところへ突進。 「先生!!ほんっっっっとーーーっに、すみません!!!お迎え遅くなっちゃって、あのこれお詫びっていうか!!」 ズイッとチョコレートを差し出すと、あたしと大して年齢違わなそうな先生が苦笑いした。 「大丈夫ですから。でも気をつけてくださいね〜。王斗くん、また明日!」 先生が手を振ると、王斗はブンブン手を振り返した。ちょ、暴れるなっ、落ちる! 「王斗!暴れないでよっ、」 「おらおらおらおらーーーー!!!」 「ないとーーーー!!!」 ほんっと、王斗は元気いっぱいで、何度ママって呼んでってお願いしても、国民的アニメの影響を受けたのか、あたしのこと「かーちゃん」って呼ぶし、 もーーーーーーっ、可愛すぎか!! さっきぶっ飛ばしてきたチャリの子ども乗せに王斗を乗せて、今度はノロノロと出発。てか王斗おもっっ。 「王斗〜、今日何食べたい〜??」 「ステーキ!」 「無理ー!」 「えー!じゃあ焼肉ー!」 「それも無理ー!王斗、お財布に優しいメニューにして!」 「え〜〜〜??かーちゃんほんとケチだよねぇ!じゃあねぇ、マーガリン醤油ごはん!」 「おっけー!それに野菜とソーセージ炒めたのと、味噌汁つけたら完璧!!」 「野菜いらねーーーー!!!」 二人で賑やかな帰り道。超愉しい。 ほんとさぁ、王斗妊娠したときは、両親にめちゃ怒られて、堕ろせとまで言われたわけ。 まー、あたしそん時まだ高校生だったからさあ、親がキレるのも無理ないっちゃ無理ないんだけど。 で、結局堕ろすとか無理ってなって、家を飛び出したんだよねー。したらそのあと親からLINEきて、お前とは親子の縁切るとか言われてマジウケる。 や、そん時は全然ウケなかったケド。 産んだこと、全然後悔してない。 だって、王斗かわいーもん!あたしも人の親になれるよーな立派な人間じゃないけどさぁ、それでも王斗のためならいくらでも頑張れるってゆーか? とにかく、王斗に出逢えて良かった。
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