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『通路内でのスリに注意』
寺の関係者が書いたものか、毛筆の文字が目つく。
某有名寺での胎内めぐり。
私は拝観料を納めると寺院内部の地下道に続く階段へと向かった。
通路中央には千手観音菩薩に繋がる金輪があり、触れることでご利益を得ることができるそうなのだが…何ぶん光の差さない地下の道。闇の中で心の目を養うためとはいえ暗中を歩き続けねばならず、私はいささか不安な心持ちとなった。
(そんな所でさらに財布なぞスられてしまえば、神も仏も無いものかと嘆きたくなるだろうに…)
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