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御影さんは「うちに来るだろ?」といつも確認しないけど、週末は当たり前のようにお泊りコースになってしまっている。
御影さんの家へ上がる。
軽く酔ってる御影さんだけど、普段通りまったく変わらない様子で風呂にお湯を溜めている。
「なんだなんだ、今日は甘えん坊だなぁ」
ずっとくっついてる僕を振り返り、ニヤニヤ顔でからかってくる。
「別にそういうわけじゃないですけど」
なんでもない風を装い、眼鏡をパーカーの裾でキュキュッと拭きながら言い訳した。御影さんの家は無駄に広いし、他にすることもないし。一人は嫌だからいるだけだ。
「ふ~ん? そうか?」
蛇口からジャージャーと勢いよく出るお湯。御影さんはガバッと服をめくり頭から抜いた。
「入るけど、どうする?」
「え」
パッと顔を上げて御影さんを見た。
なんで今日に限って聞くの? いつもだったら「ふたりで入ると湯が早く溜まる」なんて言ってわりと強引に引っ張るくせに。
「たまにはひとりで足を伸ばして入りたいだろ?」
フフンと澄ました顔でサラリといじわるしてくる。くっそー! と顔を背け眼鏡を洗濯機の上に置いてパーカーを脱いだ。
「せっかく待ってたんだし、ゆっくり入るのはまたの機会にします」
早くも服を脱ぎ捨てた御影さんが、シャワーに切り替え頭からお湯を被っていた。
「そっか。じゃあこい」
濡れた手が差し出される。
なんだこれ! なんかすっごい……ふ・ほ・ん・い!
えいやあと、行き場のない気持ちをこめてズボンを下ろし、洗濯機へ投げ込んで浴室へ目を向ければ、御影さんの手はそのまま。
「…………」
自分の負けと認めるしかない。
仕方なく手を握るとグイと引き寄せられた。その勢いに「わっ!」と抗議の声を上げる間もなく、シャワーの雨に打たれながらキスしていた。絡め合う舌の合間から水が滲み入ってくる。僕は御影さんの首にしがみつくみたいに腕を回してて……。
つまり、こういうことなんだよね。
お腹に押し付けられる御影さんの昂ぶり。キスはすごく気持ちがいいのに、意識の半分がどうしてもそちらへ持ってかれる。熱いシャワーの中、熱く固いそれにどんどんのぼせて僕のも御影さんのと同じになってく。
ふわぁと揺れる脳と体を御影さんの逞しい腕が支える。それを嬉しいと感じてる。
御影さんは僕の体を反転させ壁に押さえつけた。
ひんやりとして気持ちいい。
呑気にしてたら、腰を引っ張られた。掴むものもなくて、御影さんへお尻を突き出してしまう。
照明が煌々と照らす浴室。鏡には誘うようにお尻を向ける僕と立派なものを惜しみなくそそり立たせた御影さん。
うう……恥ずかしい。見なきゃよかった。
目をそらし、壁に突いた手に顔をくっつけた。
こういうのっていつになったら平気になれるんだろう。
僕の気持ちなんてお構いなしの御影さんはお風呂に常備してあるローションを取り、慣れた手つきでお湯と混ぜヌルヌルのアメーバーみたいな液体を作った。それをお尻の割れ目や太股へ塗りたくられる。
「……っん」
優しい手つきで触れられたあとを追うように走っていくゾクゾク。気持ちよくて、もどかしくて、キュウと背中がしなってしまう。
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