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丸一日、石材運びの仕事をして、銅貨二枚と鉄貨四枚だった。
帰り道、パンを二つと母の薬を買うと全てなくなった。けれど、齢十の俺が働ける場所を貰えるだけありがたかった。
丸一日何も食べてないせいか、腹の虫が低く鳴る。盛りとはいえ今年は冷夏。夕暮れ吹く風が、汗で冷え切った身体に堪えた。
鉛のように重い身体で家路を急いでいると、通りの向こうから先触れが何か喚きながら走ってきた。
「流行病の元凶の魔女が捕まったよ! これから西の広場で火刑が始まるよ!」
そう言っているのが聞こえた時、俺は疲れも忘れて先触れにしがみついた。
「それは本当のことですか!?」
「ああ! 間違いないよ! 司祭様達の神判で魔女が見つかったんだ! これで流行りの病も全てなくなるだろう!」
それを聞いた俺は喜びと安堵で、崩れ落ちた。
「よかった……。よかった……」
安心したせいで、自然と涙が目にたまって視界が滲む。
「辛かったんだな。でももう安心! 魔女はもう殺される」
「はい……、ありがとうございます。これで母も……!」
「そうか。よかったな。さぁ、早く母君に伝えておやり」
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