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二人(六)
その時は自分のことで気分も高揚していてあまり深く考えなかったけど、神様を、使う?
こいつは何を言っているのだろう。
「そう言えば……役に立つって、何よ」
ユナは立ち止まり、振り返って尋ねた。
「あぁ、うん、まことさまの力を使って、刑事か探偵になるのも悪く無いかなぁって。何しろ誰でも強制的に自白させることができるんだよ?ジャーナリストでもいいな。嘘つきの芸能人や政治家に何もかも全部正直に喋らせたりできるもんね」
「でも……あんたはずっとそのせいで日常、人とまともに話せないじゃん」
「別に……僕は元々そんなにお喋りな方じゃないし、会話も上手く曖昧にすればタカの時みたいなことにはならないし、よく考えたらそんなに困ることも無い気がしてきてね」
こいつ、なんかちょっと……。
怪訝な顔でユナは考え込み始めた。
そこへやっと追い付いたトウマが並び、首を傾げる。
そのまましばしの沈黙があったが、やがてユナは、何やら意を決したようにトウマを睨み付けると、ふいに自らのスカートの裾を跳ね上げた。
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