雨上がりの出会い

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雨上がりの出会い

ある日の昼下がり外は先程まで降っていた雨が嘘のように止み綺麗な虹と爽やかな日差しが濡れたアスファルトを照らし出す。 「待ってよ咲ちゃーん!」 「ほら早く!雨上がったからキャッチボール出来るよ!」 道に出来た水たまりを気にすることなく駆け抜ける。 まだ幼い2人は生まれた時から家がお隣の幼なじみで何をするのも一緒の小学生だ。 「絶対ビチョビチョだってー。」 「投げれたら問題ないよ。早く行こ!」 対象的な意見の2人だが共通するのは野球が大好きであること。 意見が分かれているのは雨が上がったからキャッチボールをしに行こうという提案からであった。 いつもの公園のいつもの場所。雨上がりということもあり二人以外誰もいないはずだった。 「およ?誰がいるぞ。」 「え?こんな日に野球する物好きが咲ちゃんの他にもいたの?」 「誰が物好きだ!?まぁ間違ってないけどな。」 二人は遠くからその少女を見つめる。その子は一人で黙々と金属バットを振っている。 ブン、ブン、ブンとリズム良く心地の良い素振り音が鳴っている。 「・・・・・・。」 二人は見とれてしまった。左打席で構えるゆったりとしたフォーム。右足を少しあげてタイミングを取りバットを引きながら腰で振り抜く理想のフォーム。 ひと目でわかる事はこの少女ただの野球好きじゃない。 「ねェあの子すごいね?って咲ちゃん!?」 「おーい!一緒に野球しようぜ!!」 気づいた時には幼なじみの咲の姿は遥か向こうにあった。 頭で考えるより行動に移す。それが咲の長所でもあり短所でもあった。
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