家出娘(いえでむすめ)

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いつまでもここにいるわけにもいかない 居心地はちょっといいけど… ヒトミは ハンガーからアノラックを外して 頭から被った。 「帰るの?」 マリカが気づいて 背中から声をかけた。 「うん」 「ヒトミは恋人いる?」 「いない。 けど、好きな人は、いる。」 夏菜の指先を思い出した。 胸に灯りが点いたように温かくなる。 「女の子だけど、愛してるの」 「そう、じゃあ あなたはもっと強くなって 愛する人を今すぐ もっといっぱい愛して、愛を伝えて。 愛する人がいつもそばにいるとは限らないよ で、あなたにイヤことをしてくるヤツには No!と言い続けて。 そいつを傷つけることで ヒトミ自身が傷つくのは絶対ダメ」 マリカの目は チラッとヒトミの首のアザを見た。 「ヒトミ、 あのスープを飲んだんなら あなたも今日から魔女だよ イヤな奴が、言うことをきかないなら 私がが魔法でやっつけるから ここに逃げておいで」 ヒトミは頷くと アノラックのポケットから サバイバルナイフを取り出して マリカに渡した。 いまなら、何でもできる。 すごいバリアがヒトミを覆ってる気がした。 「魔女は、何があっても負けない。 背筋伸ばして、いけ!」 マリカのかけた最後の呪文で 家出娘は完全に魔女に生まれ変わった。 終わり
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