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思えば吾郎くんとは初めから怒涛の展開だった。
目覚めたら夕べバーで隣にいた男性が同じベッドで寝ていて、確かに致した感覚があって。
慌てて服を着て出ていこうとしたのに、逆に脱がされてまた繋がってしまって。
でも、流くんとの別れさえ実は吾郎くんが仕組んだことだったんだから、彼にしてみたら結構必死に私を手に入れようとしてくれたのかもしれない。
「運命って不思議ね。吾郎くんがお持ち帰りしてくれなかったら私たちは赤の他人のままだったし、そもそも優子さんの大叔母さんを助けた私に吾郎くんが気づかなかったら一目惚れしていなかっただろうし」
「いや、あの見事なスライディングはロビーにいた全員が見てたよ」
クスクスと肩を揺らす吾郎くんが私を後ろからギュッと抱きしめた。
二人の吐息に柚子の香りが混じっていて、まだ酔いの回った心地いい浮遊感が残る。
このまま吾郎くんに泊まっていってもらおうか、なんて考えたりもするけれど、肉食獣の吾郎くんに実家だからと我慢させるのは酷だろう。
「柚子ちゃんは信じてくれないかもしれないけど、酔った女性をお持ち帰りしたのなんてあのときが生まれて初めてだったんだ」
「信じるよ。というか吾郎くんのキャラでお持ち帰りなんてあり得ないもん」
「だよね。柄にもないことをしたのは、泣きじゃくる柚子ちゃんがいじらしくて放っておけなくて、欲しくて堪らなくなったからなんだ。それは今もだけど」
バックハグしていた吾郎くんの手がヤワヤワと私の両胸を揉みしだく。
ほらね。二人きりの空間で二人とも酔っていたら、こうなっちゃうのは必然なんだ。
「うちで最後までスるのはマズいよ? 隣の部屋の夏希に丸聞こえだし」
「わかってる。でも、もうちょっと。いいでしょ?」
「うーん、じゃあちょっとだけね」
窓を閉めた吾郎くんは「声、我慢して」って言ったけれど、私の喘ぎ声より吾郎くんのうめき声の方が大きかったかもしれない。
吾郎くんは左手で胸の先端を転がしながら、右手を私のショーツの中に入り込ませてクチュクチュと水音を立てさせるんだから、声を我慢するのは大変だった。
さすがに挿入までには至らなかったけれどね。
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