第1話 屈辱の初陣

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翌日。 棚瀬が昨日の捜査会議の報告に捜査一課長室に現れた。 被害者の名前、年齢、死体現場を報告した後、自分なりの主張を述べた。 棚瀬は今回の犯人は以前起きた『皮剥事件』の模倣犯によるものだと主張。 復讐による殺人と決めつけていた。 確かに今回の被害者、細野竹春(ほそのたけはる)さんは無職ではあるが、元は消費者金融に勤めていた。 しかもその消費者金融は非合法な闇金であり、強引な取り立てをする事で有名であった。 会社を辞めたのも債務者に恨まれたからだと棚瀬は主張した。 でも話をすぐに結論付けてはいけない。 「細野さんの身辺調査は洗ったの?」 「今、小宮班が調査中です」 「ならば結論を早急に決めつけては駄目。まずは被害者はどんな人物だったのか。話はそれからよ」 私はそう言うと、棚瀬を下がらせた。 棚瀬を下がらせ、室内に1人になると私は細野さんの検案報告書に目を通した。 死体の写真も添えられており、死体には足の爪先から頭に至るまで見事に剥がされていた。 死因はショック死だそうだ。 これは前回の時も同じだった。 そこは変わらないようね。 しかし何か違和感を感じる。 私は長い時間、細野さんの死体の写真と睨めっこしてきた。 「………なるほどね」
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