第47話 開拓と屋敷

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第47話 開拓と屋敷

 ドゥメルグ公爵の晩餐会が終わってからの反響が凄かった。  『味元(あじげん)』、『マヨネーズ』、『醤油』、『ソース』。  商業ギルド、アバンス商会、そしてなごみ亭などは時間外の昼にも人が殺到した。  しかも調味料の入物は『創生魔法』で『陶器』を作り原価は更に安くなったのだ。  やはり流行は貴族からだ。  上で流行れば庶民に自然に落ちて行く。  『味元(あじげん)』、『醤油』、『ソース』は今のところ、俺がストレージの中で作っている。  開拓村ができ人が揃うまでの間だが。  『マヨネーズ』作りはアルシアさんとアディちゃん に任せている。  孤児院の孤児たちが毎日作っており、最近では慣れてきたのか1日100個はできるようになってきた。  1個100円だから一日10,000円の給料だ。  6人で割ると約1,700円だけどね。  それでも成人前の孤児を使うところがあまりなく、働けるだけマシだそうだ。  俺が下宿に戻ってくるとアルバンさんは営業に出ており、アルシアさんは孤児たちと『マヨネーズ』を作っていた。  アルシアさんに街の外に出てくることを説明した。 「街の外に出るのですか?」 「えぇ、森の中で開拓をしようと思いまして」 「開拓ですか??」  怪訝な顔のアルシアさんを後に『なごみ亭』を出た。  その足で必要なものを雑貨屋や魔道具屋を回り購入した。    それから俺は街を出て、ドゥメルグ公爵から許可の下りた場所を目指し走った。  街から歩いて2時間くらいなら、俺の身体能力なら走れば30分かからない。  ここら辺から森に入ればいいのか。  ドゥメルグ公爵から聞いたことを思い出している。 『開拓した際に出た木や岩、土などは好きにして構わない』と。  では頂こう!  ストレージ収容!  街道から目的地に向け目の前の樹林や土を、ストレージに収容し道を作っていく。  道幅は馬車が二台通れて、なおかつ人が左右に一人立てるくらいの幅にした。  街道から入り目的地に着いた。  最初は俺一人だから面積は、草野球のグラウンド10面分くらいでいいか?  四角く整地された土地の奥に収容した土で地面を(なら)し、木、鉱物、岩を使い建物を作った。    後々、建物は誰が来ても恥じない様に三階建てにした。  正面を入ると中は大きな階段があり、左右はフロアになっている。  一階はホール、大階段、食堂、客間、台所、洗濯場、風呂場  二階、三階は部屋と書斎  地下には貯蔵庫 【スキル】世界の予備知識、で地球の明治時代の西洋館を調べ、真似てみたのだ。 「ここまできたんだ。やっておくか」  まずトイレだ。  以前いた転生または、転移者の残した文化も多くトイレ関係もその一つだ。  街では陶器で洋式のトイレを作り地球のように後ろにタンクを置き、その中にフロートを浮かせ水が無くなると魔道具から水が出てタンクを満たす。  ただし汲み取りで、ウォシュレットなしです。  地球の江戸時代のように『汲み取り業者』がおり、定期的に汲み取りに来るのだ。  しかもウンチは売却となり身分が高くなるほど、庶民より美味しいものを食べているのでウンチの栄養が高く良い肥料になる。  そのため、ウンチの買取金額も高くなるのだ。  各地域に共同トイレが設けられ、賃貸住宅の大家さんにはお小遣い稼ぎになる。  たださすがに『汲み取り業者』はここまで来ないので俺のストレージに直結した。  ストレージで水分を取り乾燥させ粉末肥料にすればいいのだ。  そして俺のストレージはパソコンを意識しているのか『ゴミ箱』があり、いらなくなったものを、ここから捨てることができるのだ。  洋式トイレを『創生魔法』で造り、タンクに水が出る魔道具を取り付けた。  こんどはお風呂だ。   この国の住宅は身分の高い人でないとお風呂がない。  タライに水を入れ体を拭くくらいで、ボディソープやシャンプーもない。  だから汗臭い人が多く貴婦人は、その臭いを隠すために香水をつけている。  水は井戸から汲み上げて使用しており、下水が通ってないため家の前か裏庭に捨るのが一般的だ。  まず、やることは排水対策だ。  一階にお風呂があり屋敷から1kmくらい離れたところに川が流れている。  屋敷の裏に回り風呂の排水口下の土を、幅10cmくらいにストレージでバキュームのように吸い込んで掘っていく。  そして川に向けてどんどん進めて行く。  川まで掘れたら購入してきたクズ剣や槍を、ストレージ内の『創生魔法』で鉱物に分離!  ここまで掘ってきた土や岩に含まれる成分も利用し配水管を作った。  川の手前で大きく何ヵ所かに掘り下げ、小さなじょう水場を作った。  台所にも配管を引き、じょう水場経由で川に流れるようになった。  これでろ過ができ環境にやさしく排水ができる。  同時に河川から村に水路を引き、飲み水や生活水に使えるようにしておいた。  台所には火の術式を組み込み、魔道コンロを創った。  一階のお風呂場、台所や洗濯場、各階にある洗面所にも水道の蛇口を取り付けた。  蛇口は混合栓にし『水』と『火』 の魔石を入れお湯が出るようになった。  これはトイレの魔道具を応用し、蛇口をひねると水が出るように術式をストレージ内で変換したものだ。  照明は全て魔道具に『ライト』の魔法を付与し、屋根には『ソーラーパネル』ならぬ『魔素吸収パネル』を設置した。  大気中にある魔素を吸収し電力代わりになるのだ。  氷と風の術式を付与し冷蔵庫も作った。  後は住みながら順番に揃えていくしかないか。  そして俺は街に戻った。
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