一海さん家の事情

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「直純ー、帰りにカラオケ行こうって話になったんだけど、行くー?」  昼休み、高校の友人たちからの誘いに、 「あー、ごめん、今日は無理だ」  一海直純は申し訳なさそうな顔をして返事をした。 「お、なに、デート?」 「あ、カノジョできたんだって?」 「いや、そんなことないけど。どこ情報だよ」  まったくの誤報に驚いて問い返すと、 「この前、中林が見たって言ってたぞ。直純が美人連れて歩いてるのを」 「あ、聞いた聞いた。でもなんか、金髪だって聞いた」 「へー、意外。真面目なお前らしくない」 「あー」  友人たちが次々と口をするカノジョとやらの容姿に、なにを勘違いされたのかを理解すると、苦々しい気持ちになる。 「いや、あれはカノジョとか、そんなんじゃないって」 「じゃあなにさ?」 「従姉だよ」
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