第四章 真実一路! 目指せ御台所!

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 卯の刻(朝六時)、江戸城は大奥の御小座敷御上段ノ間にて将軍が目を覚ました。それを確認しに御小座敷御上段ノ間までやってきた側付きの小姓が「もーっ!」と叫びながら江戸城中を駆け回る。これは「将軍様がお目覚めになりました」と言う合図である。この叫び声を呼び水にして江戸城の一日は始まる。  本来、将軍が大奥にて一夜を過ごした場合には一旦中奥へと戻り、朝の準備を行うのだが、今回は新しく決まった御台所である瑠璃に気を遣って御小座敷御上段ノ間にて全ての準備を行うのであった。朝食と健康診断と袴姿への着替えもその場で行われる。瑠璃の朝の準備も同じく行われる、方法は鉄漿(お歯黒)以外は将軍とほぼ同様である。ただ、今回は将軍の「御台所と行くところがある」の一声で省略された。 全てが異例尽くしの朝であった。
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