第51話 魔法剣士

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第51話 魔法剣士

 俺達はエターブの町を出た。  目的地のヴィラーの村までは、普通に歩けば午後には着くと宿屋で聞いた。  まぁ、走れば2~3時間くらいか。  だが俺達はそれぞれの能力を確認するため、寄り道をする事にした。 「ここまで来れば大丈夫だろう」  人が来ない森の奥まで来ていた。  ここにくるまでの間、オルガさんはAgility(素早さ) UPを使い素早さを上げている。  プレートアーマーを着て、バスタード・ソードを提げているのに素早い。  オルガさんは剣士だからMPはそれほどない。  しかしAgility(素早さ) UPを使っても、消費自体はあまりないようだ。  俺の場合もそうだが、元は生活魔法だからあまり消費しないのかな? 「じゃあ、まずは私からね」  そういうとオルガさんは剣に風を真空状態で纏わせた。  Vacuum(真空) sword()だ。  英語名だと、とてもかっこ悪い名だ。  ヒュン!ヒュン!ヒュン!         ヒュン!ヒュン!ヒュン!  周りの木の枝が、なんの抵抗もなく切れていく。  オルガさんを鑑定で見てみる。  最高でMP30が、Agility(素早さ) UPを使った分を含めてもまだ23ある。  やはり一気に放出せずダラダラ使うから、その間に少しずつ回復し消費が少ない様に見えるのかもしれない。  そうだ良いことを思いついた。 「オルガさん、試してほしい技があります」 「試す?良いわ。どんな技なの」 「パメラさんのウインドカッターみたいに、剣で風圧を飛ばすんです。こういう風にね」  俺は剣を振る真似をした。 「剣を振った時にウインドカッターを飛ばす、みたいなイメージね」  ヒュン!ヒュン!ヒュン!  何度かやっていると、シュン~!!  何かが飛んだ音がして、オルガさんの向かいの枝が切れた。  鑑定でMPを見ると5減っていた。   「やった!できたわ」 「凄い~!オルガ。剣からウインドカッター飛ばしてる。剣士なのに」 「やったな、オルガ。私も負けないからな」  パメラさんやルイディナさんがそれぞれ褒める。  そうオルガは剣士なのに魔法を使ってる。   【スキル・鑑定】簡略化発動  名前:オルガ・ドラード・セルベルト  種族:人族  年齢:19歳  性別:女  職業:魔法剣士  レベル:18 【スキル】  剣技:LV2  発展スキル:風  Agility(素早さ) UP:LV1  Vacuum(真空) sword():LV1  Wind slash(ウィンド スラッシュ):LV1  あぁ、やっぱり。  思ったとおり、職業が魔法剣士に変わっている。  そのことをオルガさんに伝えた。 「えっ、私が魔法剣士!」 「凄い、オルガ。それならエリアスっち、私は大魔導士かしら」 「まあまあ、パメラ。落ち着いて」  そして魔法消費についてオルガさんに伝えた。  オルガさんのMPは30。  Agility(素早さ) UPやVacuum(真空) sword()を使っても、少しずつ回復しそれほど消費は無い事。  でもWind slash(ウィンド スラッシュ)はMP5を使う事を話した。  瞬発的に使う技は消費が激しいと思われることを説明した。   「大丈夫よエリアス君。Wind slash(ウィンド スラッシュ)は、奇襲や牽制には使えてもメイン攻撃にはならないから」 「あぁ、やはり攻撃力がそこまでないですか」 「今の感じではね。これから鍛えればわからないけど、魔法はオルガに任せるわ」 「そうだ。エリアス君もWind slash(ウィンド スラッシュ)をやって見せてよ」 「エリアスっちの方が、オルガより魔力があるはずだから、いい攻撃魔法になるよ」 「そうかな、やってみますね」  ヒュン!ヒュン!ヒュン!         ヒュン!ヒュン!ヒュン! スカッ!  ヒュン!ヒュン!ヒュン!         ヒュン!ヒュン!ヒュン! スカッ!  ヒュン!ヒュン!ヒュン!         ヒュン!ヒュン!ヒュン!  スカッ!  何度やっても駄目だった。  剣に風を纏わせることは出来ても飛ばせない。  最近、鑑定をしていて気付いた事がある。  俺のステータスはレベル上は低いが、比較的他の人と比べると高い事を。  嫁3人と比べると2~3倍くらい知力、防御力、素早さ、運はある。  魔力に影響する知力が俺は81、オルガは38。  魔術師のパメラさんでさえ知力は50だ。  ならなぜだ?     「だ、大丈夫よエリアス君。あなたは私に魔法を使った技を教えてくれたでしょ」 「そうだぞエリアスっち。私のウインドカッターの威力も上がったし」 「エリアス、元気出せよ。お前は誰かに力を与える能力があるじゃないか」  3人の嫁がそれぞれ慰めてくれる。  俺の能力はどうなっているんだ?
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