君だけのナイト☆

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俺は高校を卒業し、希望校の大学に無事、入学し、一人暮らしを始めた。 三年になったハルだったが、母に、俺と暮らす旨を話すに当たり、通信科の高校に編入したい、と話していた。 清明学園より遥かに授業料も安く、寮代も浮く。 腹違いとはいえ、二歳の妹もこれからお金がかかるだろうから、とハルは説明していた。 『気持ちは有難いけど....まさか、虐めに遭ってた、とかじゃないわよね?』 「違うよ、母さん。先輩の部屋に居候する変わりに家事とかもしたいから...通信科なら週一、レポートを提出だったり、登校日も少ないし」 俺はハルのお母さんとも電話で話した。 せめて、アパート代を折半で払いたい、と、ハルのお母さんの申し入れを俺は断った。 「ハルは料理もしてくれ、家事もしてくれ、助かってるんで。僕も授業に打ち込めて、本当に助かってるんです」 俺たちが初々しい同棲生活を始めた、なんてバレたら困るので。 「二歳、て可愛らしい年頃ですよね、これから、お金もかかると思うし...あ、ハルは栄養士になりたいって、意気込んでます」 そう。ハルは目標ができ、打ち明けてくれたのだ。 『栄養士?じゃ、病院や施設での勤務になるのかあ』 『無事、資格が取れたら、なんだけど...それに...』 『うん?』 『先輩に栄養バランスの取れた、食事、作ってあげたいから』 後ろから抱き締めていたハルが恥ずかしそうに呟いた。 俺は弁護士、ハルは栄養士、別々の目標、道だけど。 同じ部屋に住み、俺は変わらず、ずっとハルのナイトになる。ハルだけを守る。これからもずっと。 僕、ハルは色んな男の人と体を重ねてきた。 ずっと嫌だった。 たまに悪夢を見るけれど、いずれは過去のこと、と思えるようになりたい。 佐伯先輩に出逢えて本当に良かった。 佐伯先輩だけのナイト-夜-だけでいい。 これからは佐伯先輩だけにナイト-夜-を捧げる。
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