第三章

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「どうやら奮闘していらっしゃるようですよ。」 明が情報を売りつけた何社かは王グループ関連の会社もあった。 「好きにやらせておけ。」 彼女が自分に頼って来ない事が面白くないリーレンしかし今は、彼の前には数か月前まで敵だった男が座っていた。 「忙しそうですね。」 そう言うのは188㎝の長身に見事にスーツを着こなして縁なしの眼鏡の奥の目は何を考えているか読めない男が座っていた。 「忙しいのは、私の婚約者だよ。」 「貴方に婚約者がいたんですか?」 聞いた事がないと彼は言う。 「ああ、彼女が幼い頃に彼女の親が決めた事だよ。」 「貴方は彼女を?」 「ああ、特別な子だよ。私の事を覚えていないのだから薄情だがね。幼い頃も可愛い子だったが綺麗に育っていたよ。気は強いが・・。」 明の親友という佐伯美鈴という女も綺麗だったし気も強かったと思い出す。 「それは、いいですね。再会できたのですからこれからですね。」 普通ならここで「他の女でもいいのでは?」や「年齢差は?」と聞くだろうに彼は聞かなかった。 「君は、おかしいと思わないんだな。一回り以上年下の女性を私が想っていても。」 「年齢は関係ないでしょう?僕も解りますよ。」 彼は、自分も弁護士になりたての頃に15歳の少女に一目惚れをして今でも彼女を想っているという話をリーレンに語った。 「私と君は似ているかもしれないな。」 そんな会話を初めとしてリーレンは目の前の男の条件を吞む事にした。 「君の親友の移植の件は手配しょう。間に合うといいが・・あとライトコーポレーションについては援助は惜しまないよ。」 「有難うございます。」 「この契約で3年うちのアメリカ支社をなんとかしてくれ。」 「ええ。わかりました。」 「たのんだよ。鷹崎隼人君。」 この場は鷹崎隼人という男と念願の契約をする為に用意した場だった。 彼との契約は、契約書も多くしかも特殊な依頼もあった為に時間がかかっていた。 この契約は王にとっては大きい。 敵側にいた鷹崎隼人弁護士に何度も負けていたい思いはしたが彼には、隙がなく今回は彼の親友が心臓移植を希望しているという情報から彼に近づいた。 まさかライトコーポレーションの専務をしていて実質上の経営者だと知ったときは驚いたが。 上手く契約が成立してあとは条件の履行だけになっていた。 そんな彼も自分と同じ恋愛感覚かもしれないと思うと面白いとリーレンは思っていた。 「うちの婚約者殿はじゃじゃ馬ですからね~その親友もまた気が強い子がいてね。中々面白いんですよ。」 お互いに契約書にサインしながら笑う。 「大人しい女性なんて興味はないでしょう?」 「その通りだよ。」 外から二人をみていた白は「兄弟か?」と思うくらいに二人には類似点が多かったが間違いなく違うのだけは確かだった。
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