ケース7️⃣ 前世追憶

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ケース7️⃣ 前世追憶

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 2月の初頭。 しんみりと冷え込む午後4時頃。 いつものタコ焼きハウス・エリーゼは、賑わいをみせていた。 下校途中の制服を着た、女子高生たちが7名程、店先に集まっている。 その女子高生たちに囲まれた状態で、忙しそうに、タコ焼きを焼いている叶恵の姿。 寒空の下、辺りにはタコ焼きの香りと、熱気が漂っていた。 その中の一人の女子高生が、興味津々の顔で、叶恵に訴える。 「・・で、それで? 次は、私の番ね〜!」 周りの娘らと、ふざけあいながらも、すかさず一人、主張したのだ。 「え? 待ってよ〜。次は私だよ〜。」 横にいた別の娘が、不服そうに割り込んでくる。 それらのざわつきを、タコ焼きを焼きながら、叶恵はチラリと見て言った。 「順番に見てあげるから〜。店先で、言い争いをしない!」 そんな諫め《いさ》にも気にせず、女子高生たちは、食い入るように聞いてくる。 「それで〜? 私の恋愛は、どうしたら良いんですかぁ〜?」 一つ溜息をつきながら、叶恵は投げかけた。 「本当もう〜、占い代が無料だって分かってるから、タコ焼きよりも注文が多いよ。」 「だって〜。私たち学校でも、ここの占いは有名なんですよ〜。」 女子高生の一人が答える。 叶恵はそれを聞いて、不服そうに言った。 「それは、素直に喜んでいいのか分からないよ。占いは有名で、タコ焼きは有名じゃないんだよね。」 別の女子高生が言う。 「えっと〜、無料で占いをしてくれるタコ焼き屋さん、って事で有名ですよ〜。」 「なんか、それ複雑だねぇ〜。」 いまいち納得出来ない叶恵は、他にもブツブツと愚痴を呟いた。 「そんな事より、恋愛占いは、どうなりました〜?」 しつこい女子高生が、また聞いてくる。 そんな時、 「ただいま〜。」 という、ボソリとした声が聞こえたかと思うと、スッと誰かが店内に入ってきて、そのまま奥へと突き進んでいった。 そんな時、叶恵は焼き上がったタコ焼きを、次々とパックへと移していく。 まるで精密機械の手品でも見ているかのように、テキパキとした手際で、あっという間に、タコ焼きが出来た。 「はい! お待ちど〜! これで、7パックだから、3500円だね!」 そう言われて、女子高生たちはお金を集めて支払いを済ませる。
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