鍋用闇

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 ん……? ……んん?  え。でも。  俺らはえっと……。いつも食べてる【鍋用闇】が、生産中止になったから。  どうしてもまた、あの闇で作った闇鍋が食べたくて。  それで、友だちみんなで、闇の採取場のこの洞窟に――……。  ――じゃなくて!  違う違う違う。  そうだ、ここには。  俺は……大学のサークルの仲間たちと……。  ■■県■■■市の山に……登山に来て……。  途中で見つけたこの洞窟の中に、ちょっと、入ってみようってなって。  ……その、洞窟の中が……迷路みたいに入り組んでて……。  ……中で、迷って……出られなくなって……。  俺は……友だちと、二人で行動してて……。  ほかのみんなとはぐれたあとも……ずっと……あいつと一緒に……。  ……えっと。……だから?  この、空袋は……? 【鍋用闇】の、鍋つゆが入ってた袋――じゃ、なくて。  持ってきてた食料の……最後のパック。  その食料も……何日も前に……空になって。  …………?  ……え。  じゃあ。  今、口の中にあるのって――……。  あれ?  ん?  …………。  あ。  ああ、でも。  こんなの、いつものことか。  そうそう。闇鍋のときは。よくあるよくある。  だって。  ぜんぶ真っ暗で。  いったん闇にまみれたら。  具材の区別がぜんぜんつかない。  口に入れても。  最後までなんだかわかんない具。  あったりするんだよな。  だから。  まあ。  いいか、なんでも。  闇味にすれば、なんだっておいしくなるもんな。  -終-
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