29.言霊ブレスレット

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「そこはわいが何とかする。今までやってわい一人で何とかしてきたわけやしな。それにわいには何でか知らんけど、今まで必ず何とかなってきた実績があんねん。ホンマに力のある忌一君が一緒なら、しくじる気なんかせぇへんわ。わいに任せとき!」  村雨はこれでもかというドヤ顔で、自分の細い腕に力こぶを作り、それを叩いて見せた。 (それはまぁ……その喉だしな)  村雨の首にくっきりと浮かび上がる梵字を見つめる。この梵字で彼の喉には異形が封印され、言霊の力が宿っているわけだが、それは彼の能力というよりその梵字に封印されている異形の力だ。そう考えると、一抹の不安が拭い切れない。 「良いのではないか? こやつの言霊と異形を見張るいい機会だと思うがのう」  しわがれた声が聞こえ、ジャケットの内ポケットを覗くと桜爺がこっちを見て親指を立てていた。どうやら式神的には、村雨と組んで仕事をすることに賛成のようである。 (でもこれってもしかして……今俺が村雨の言霊の餌食になってない?)  頭の片隅ではそう感じながらも、どうせやることもないしなるようにしかならないかと、村雨から「一緒にやろ!」と差し出された手を、おずおずと握るしかないのだった。   <言霊ブレスレット 完>
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