番外編

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今日は初めて遼が家にやってくる。 桃香さんは言った。 「またアパートに戻ってくればいいじゃん」 と。 でもそれは違うんだ。 違うんだよな。 だから仕事から帰ると、せっせと掃除に励んだ。 一段落すると、冷蔵庫からタマネギを取り出す。 「なにか食べたいもの、ある?」 リクエストに即効で。 「オムライスとハンバーグ」 子どもか⁉ 心の中でツッコミを入れた。 タマネギをあめ色に炒め、ミンチと合わせる。 一人暮らしが長いから、料理はお手の物だ。 胃袋をつかまなくては。 あとは焼くだけ。 だから私はお風呂に入ることにした。 掃除で汗もかいたし、重要なことでしょ? 湯船につかり、これから遼が来るのだと思うと、はにかみが止まらない。 今日は泊まっていくのかしら? なんて考えてみる。 すると。 チャイムが鳴った。 ん⁈ まさかもう来たの⁉ 慌てて体を拭き、バスタオルを体に巻きつけ。 「ちょっと待って‼」 「やだね」 ドアを開けた遼が、湯上りの私を見て、ニヤリと笑った。
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