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「安心したよ。『がんぼう伝説』のような終わり方はごめんだからね――問題は、その神通力のもとなんだが……」
そう言って、宝蔵のほうをふり返った。
「だれかが引きぬいて、焼き捨てたんでしょう。伝説通り」
「それならいいんだ」
細野刑事は、翔太の炭でよごれた手とスニーカーに目をやって、ゆっくりと立ちあがった。
「北原くんだったね。美月が、近いうちに友達を呼んで、お茶会を開きたいといっているんだ。迷惑でなかったら、来てやってほしいんだが」
「あっ……はい!」
翔太は、ペケをだいたまま、あわてて立ちあがる。
来てやって、という言葉に引っかかった。
「刑事も、いらっしゃるんですか?」
聞き過ぎたと思ったが、もうおそい。
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