春のおとずれ

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十時を過ぎて家に帰っても当然ママはいない。居ても煩わしいことの方が多いから居なくて構わないけれど……… 私たちの結婚を許してくれたママは、これから一人で寂しくないのかな? ママはまだ若いし、再婚するかも知れないけど。ママにも今度こそいい人が現れて、幸せになってくれるといいな。だけど、ママのメガネに叶う男性など、簡単に現れるわけもないか。 軽くシャワーを浴び、パジャマに着替えてベッドに入る。 ラインに浩輝くんからのメッセージ。 『来週の月曜、東京に引っ越す。茉理はいつ頃来られる? 』 「ごめんね。まだ決められない」 『不安なら、俺のマンションで一緒に暮らしてもいいけど。利便のいい広い新築マンションだぞ。まぁ、彼氏と別れないうちは、そんな気分になれないだろうけどな』 「もう少し考えてから、決まったら連絡するね」 『まだ結婚するとか考えてないよな? それだけは絶対にやめとけよ』 「うん、わかった」 『多分だけど、茉理のデビューは4月の下旬か、ゴールデンウィークあたりを予定してる。あまり練習しているヒマがないから、茉理が知ってる歌いやすい曲を選んでおくよ』 これ以上ウソをつくのが心苦しく、了解!のスタンプを押してスマホを閉じた。
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