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俺と彼女
「ねぇ、覚えてる?」
隣で彼女が囁く。
女はいつになっても記念日とか、そういうものが好きだ。彼女もそうだった。
「あー、うん、覚えてるよ」
「なぁに?」
期待の膨らんだ声に、俺が考えた。結婚記念日はまだ先、彼女の誕生日だって今日じゃない。そんなビッグイベントなら忘れてた時点でアウトだ。プレゼントを用意してないことが分かった瞬間、泣いて怒鳴られるだろう。
それなら、初めて付き合った日? 違うな、あれは寒い冬だった。なら、初めてキスした日か? いやいや、雨は降ってたが梅雨じゃなかった。
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