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それからは、居候の時と同じだった。
今日は特別に奮発して 豪華な夕飯を私が作り、二人でいろいろな話をしながらそれを食べた。
美味い美味いと豪快に頬張る姿を見るだけで、温かい気持ちになるのはいつもと同じ。
後片付けは成道が担当してくれて、その間にお風呂の準備をする。
例え引っ付いていなくても 何も話さない時間があっても、居心地が良いのも普段と一緒だ。
会長からのあんな引っ越し祝いや、偏屈者の父ですら気にしていた式だとか出産だとか。
私たち二人の生活はスタートしたばかりだというのに、先々の妄想ばかりが逞しくなってしまう。
未来について成道が冷静だった場合、それこそ重い女にならないようにしなければ。
こんな くすぐったい嬉しさには慣れていないのだから、まずは落ち着け、私。
それに──
「ね、寝るぞー!」
急に不自然になってきた成道に、私の胸がバクバクし始める。
二人の日課になっていた、寝る前のストレッチのせいではない。
今日からいつもと違うこと。
同じ部屋で、一つのベッドで眠ること。
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