恋愛事故物件

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初めて会った日から、そうだった。 散々 苦労して封印したはずの過去の私が、この男の前では安易に漏れてしまうらしい。 気をつけねば、辛かったあの頃に逆戻りだ。 落ち着け 私。 煽られてはダメだ。 「大変失礼致しました。ですが社長、女性が訪ねて来られるのは これで四度目です。しかも全部 違う女性が。その度に私が対応するというのも」 「芽吹の塩対応、彼女たちにはバッチリ効果があるんだ。助かってるよー」 ヘラヘラしながら、私の肩をポンと叩く。 気安く触んじゃねーよ!…と、心の中で叫びながら 表面上はにこやかな笑顔を貼り付けた。 「社長に就任されて日も浅く、社員の目もございます。派手な行動は慎まれた方がよろしいかと」 オブラートに包んでやったけれど、『女遊びは控えろや』というのは伝わっただろう。 「派手じゃないよ、普通だって。勝手に向こうが勘違いしてるだけ」 涼しい顔でのたまうイケメンのネクタイを、締め上げてやろうかと思った。
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