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そんな大切な宝石を私に……
「俺たちは付き合って間もないんだし、いきなりこんなの受け取れなんて 重いだろ?芽吹が俺を嫌になって出て行く可能性だってあるんだしさぁ」
「逆だってあるでしょ!私がアンタに嫌われるかもしれないじゃない!」
慌てて必死に反論した私を見て、顰めっ面の成道の表情がふっと緩んだ。
「……この石、ペリドットは"太陽の石"って言われてるんだって。安心とか恐怖心の除去とか、前向きに生きていく活力を与える石だとか何とか。あと……」
「あと?」
「夫婦の絆・愛って意味もあるらしい」
それでお嫁さんに渡すのか。
急に恥ずかしくなって、思わずボックスの蓋を閉める。
「芽吹?」
「……私、これを受け取れるように頑張る。だから」
「そうだな、俺も正々堂々とお前に渡せる日を目指すよ。この宝石は それまで大切にしまっておこう」
お互いに微笑み合った。
多少の暴走はあるにせよ、会長ご夫妻も 父も、私たちの関係を喜んでくれているのだ。
なんて幸せな始まりなんだろう。
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