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真新しいダブルベッドの上を、子どもみたいにクルクル転がる成道。
いっそ同じことをしたいと思ってしまうのは、私も舞い上っているからなのだろう。
ダメ、平静を装わなければ。
「なんかお前、余裕じゃん。ムカつくな」
余裕なんか ある訳ないでしょ。
どれだけ緊張してると思ってんのよ。
だいたい、こんなシチュエーションがいつぶりだと……
「あ!まさか 元カレのこと思い出してるとか?」
「やめてよ!何で今、それ言うかな」
ちょうど目の前に成道が転がってきたタイミングで 何処か叩いてやろうと伸ばした手は、呆気なく捕まって身体ごと引き倒される。
「なっ!……んっ」
塞がれた唇のせいで、ごちゃごちゃ考えることをあっという間に放棄してしまった。
「なんか、嬉しくて泣きそう」
息継ぎの合間に落とされた言葉に、吹き出しそうになる。
「やっぱ涙腺が脆くなってる、俺」
潤んだ瞳を見上げながら、愛しい人の背中にしがみついた。
「大好きよ、成道」
ダブルベッドが甘く軋む音に紛れ、ベランダの物音に私たちが気づくことはなかった。
***** ガタガタガタッ(おしまい♡)
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