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ナツミちゃんの手前、いつまでも元カノのことばかり話題にするのは申し訳ないと思ったけど、翌日お兄さんに電話をかけた。
5年もお付き合いしていたのだから、家族構成は当然知っているはずだ。お互いの家族とも面識はあっただろう。宇佐見のお母さんはオトハさんのことを知っていたし。
この間のこともあり、電話口のお兄さんは若干気まずそうだった。
『こないだはすみませんでした。俺のせいで気まずい思いさせて。うちの母親、何か失礼なこと言ってませんでしたか?』
「全然。懐の深い、素晴らしい親御さんだなって感動しました。あんなことでもなければ、お母さんと2人でゆっくり話す機会もなかったし、あたし的にはよかったです。お兄さんはナツミちゃんに怒られたりしてませんか?」
『ああ、彼女は大丈夫です。過去のことは気にしないって。ただ、絢斗には文句言われましたけどね。「今度やったら末代まで呪う」って。それ、お前も入ってるんちゃうんって感じですけど』
「フフッ。ほんまや。彼らしいですね」
絢斗の話題になるとほっこりして、キリキリした気持ちが幾分救われる。
気持ちが解れたところでいざ本題へ。
「変なこと訊くようですけど、オトハさんってお兄さんか弟さんはいらっしゃいました?」
『いや。彼女は1人っ子やから兄弟はおらんけど。それがどうかしたんですか?』
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