#01 レモン味のアイスクリーム

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今日も長袖のロンT姿の彼は袖を7分に捲って、暑そうなのに汗のひとつもかいていない。 本当に、雪って言葉が似合うひとだなぁ。と、涼し気な姿は羨望に似た気持ちさえ抱く。 彼は徐に駐車場の裏側へ向かえば、縁石に腰掛けた。 ……ここで食べるんだ。 隣にハンドタオルを敷き、同じように腰を落として、袋アイスの封を切る。 きんと冷えた、さっぱりとした甘さを堪能すれば、頭痛も少しは溶けていく。 夏を孕んだアスファルトは、夜とはいえ、お尻からその熱を身体に伝える。 雪平くんは、じっくりと天を仰いでいた。 どこか食べにくそうに、人差し指と親指で棒アイスを持って。 アイスを持つ左手の人差し指には、華奢な指先とは裏腹に、少し太めのシルバーのリングが乗っていて、少し意外だ。 ……何か、あるのかな。 あたしも似た様に天を仰ぐ。 街明かりに空は翳りを見せていて、ちっとも星は見えやしない。 そればかりか、あたしの目は、コンビニのブルーのライトに集る羽虫の方に釘付けだ。 生き急ぐようにぐるぐると円を描く、その様の方が気になって仕方ない。 なので自然と隣に視線を移す。 綺麗に浮き出た喉仏は飲み込む動作とともに緩やかに動く。
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