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その不機嫌な声に一同唖然。そしてがまん出来ないと言った感じで秀さんが大笑いを始め、志乃さんがため息をついた。
「わが息子ながら、なんて言うか・・・」
と呆れたように言うと、亜矢子さんも笑いだした。
「貴士がこんなに変わるなんて・・・。一歳にもならない子相手に嫉妬・・・っ」
秀さんと亜矢子さん、やっぱり親子だよね。
そう思ってると同じ息子さんの奏さんは困った顔をして降りたがる湊くんに手こずり、それを葵くんが抱っこを代わって押さえ込んでいる。
そんなみんなの様子がおかしくて、僕は思わず笑ってしまった。
だってなにこれ?
幸せすぎじゃない?
何だか変なツボに入っちゃったみたいで笑いが止まらなくて、涙まで出てきた。そんな僕を隣で貴士さんがスマホで写真を撮る。それを見た亜矢子さんが、どうせならみんなで撮ろうと、突然家族写真を撮ることになった。
そこへ偶然家の前で会ったという貴士さんと秀さん達のお父さんが帰ってきて、わけも分からず三脚を取りに行かされて急遽撮影会となった。
「はい、チーズ」
亜矢子さんの元気なかけ声で撮られた初めての家族写真は、僕の笑顔の写真と共に颯介さんの写真の隣に飾られた。ここにもうすぐもう一人加わる。こうして増えていく幸せの写真を思うと、僕の顔は自然と綻んだ。
了
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