17.ノアニール再び

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『チャンスだぞナナミ』 突然、アクエリアスがそんなことを言った。 アクエリアスの声に前方を歩くブルーの様子を窺った。 が特にアクエリアスの声に気づいている様子はない。 おそらくブルーには聞こえないよう私にだけ話し掛けたようだ。 アクエリアスの言うチャンスとはあのことである。 昨日、ブルーに訊けなかったひと言だ。 「ん、どうかしたか?」 アクエリアスの変なお節介にたじろいでいると、ついてこない私に心配してブルーがこちらを振り返った。 「…ううん、何でもない」 と早足でブルーに追いつく。 すると、抱えていた剣が少し暴れた。 分かってるわよ…言うけど、私にも心の準備ってもんがあるのよと心中で文句を垂れる。 しばらくは普通にブルーの買い出しについていく。 途中、何度もアクエリアスが動いて私に催促をするもんだから、ブルーが見ていない隙を狙ってわざと床に剣の柄をぶつけた。 …分かってる。 アクエリアスはあくまで私の心配をしてくれているのだ。 その質問をしないままファーシル城に着いてしまったら、きっと私が後悔してしまうからだろう。
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