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見渡す限りどこまでも広がる緑の地平線。
人々の手が施されていないこの広大な草原を、6頭もの馬が疾走する。
先頭を走る3頭と、それを追いかける3頭の馬の上にはそれぞれ人が乗っていた。
後続の3名は血眼になって前方の男女を追いかける。
「ここまで来れば奴らはもう逃げられない。徹底的に追い詰めるぞ!」
「でもこの先は……!」
先頭の3名の内、唯一の女性は振り返る。
「もう! しつこいなぁ!」
彼女は後ろから迫る殺意に思わず愚痴を溢す。その横を走る髪の短い金髪の男は、自分たちの先頭を走る革ジャンを着た男へ向かって大声を放つ。
「どこに行く気だ?この先は……!」
そこまで言ったところで、革ジャンの男は後ろへ振り返る。
「そろそろやるぜ」
革ジャンの男は速度を緩め、そして追いかけてくる後続の男たちに何か銀色に輝く金属の玉を複数個投げた。
「パチンコ玉……?」
警戒する後続の男たちだが、それに仕掛けがないとわかると、彼らは構わず突っ走った。
「追いつめろ! この先には行けないはずだ!」
ちょうどその金属の玉の落下地点を通過するとき、男たちは全身に強い衝撃を受け、馬から弾き飛ばされてしまった。
男たちの乗っていた馬はそのままどこかへ走り去ってしまった。
見ると、先ほどまで追っていた先頭集団は旋回しながら戻ってくる。
「いくよ!」
女が彼らに向かって何かを投げると、そこから煙が広がっていく。
「煙玉! お前ら気を付けろ! どこから仕掛けてくるか……」
仲間に警告する髭面の男だが、彼の横で仲間の一人が吹き飛んだ。
その寸前にゴンッと鈍い音が響いたことから、かなり大きなダメージを受けたのは明らかだ。
「こいつら……!」
男の顔に何か生暖かいベトベトした液体がかかる。
それがもう一人の仲間の血液だと理解するのに、時間はかからなかった。
金髪の男が馬の上から、男の仲間の胴体を剣で斬り割いたのだ。
「な、なんてやつらだ……!」
さっきまで追い詰めていたのは自分たちのはずだ。しかしこの容赦のない反撃に、男は理解した。
(追い詰められていたのは……俺たちの方だ!)
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