雅人が怪しくなる。

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玄関のインターフォンを鳴らすと、少しでドアが開いた。 立っていたのは、明らかに水商売のオネーサンだった。 綺麗な服を着たその人は私と同じ位か、ちょっと年上かもだけど、長い髪もお化粧も明らかに洗練されている。 「田口君、寝てます。どうぞ」 「はい」 心臓が爆発しそうだ。 なんか、緊張する。 「ごめんなさいね。勝手に上がって」 そう言うと、その人は廊下に置いてあった、高そうなバックを掴んだ。 「スミマセン、けど、どちら様ですか」 「えっと、美咲です。田口君のお友達の友達。聞いてない?」 とふわっと笑った。 あ。あの時のタクシーの人だ。 あの時、焦りすぎて顔なんかよく見えなかったけれど、話からすると、この間の副社長の愛人だろう。 「あ。そうですか。何で、今日、雅人と一緒ですか?」 もう帰ってほしいのと、ちゃんと説明してほしいのと、半々。 「今日、私はその人と約束があったんだけど。その人が田口君を用事で呼んで、一緒にタクシーに乗ったら、もうかなり熱があったから、そのまま家に帰れって。ここまで連れてきて、そのお友達は仕事で先に帰ちゃったの」 丁寧に説明してくれたけど、相手が副社長だと明かさない。 カモフラージュに呼びつけたら、風邪引いてて、送ったということか。
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