噛みしめる幸せ

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 2020年。 世界はあるウイルスの危機に曝された。疫病などどの時代にもあった。だがそのウイルスは人類が対抗すべくワクチンを作る度に次々と変異種を増やしていく。 そんなウイルスとのイタチごっこに疲れた人類は遂に"人類機械化計画"などという馬鹿げた行動に出た。 まずは肺から、そして心臓、血管、人体のあらゆる部位を機械に変えていき遂に目も皮膚も、声すらも全て機械化されたのだ ──。  主な動力は太陽光。 ソーラーパネルで摂取はするが排泄物はなにもない。 それで"人間"と呼べるのかは謎だが、人々が機械になる事で環境汚染は収まり自然が豊かになる事で絶滅寸前だった動植物は復活を遂げた。 最初は政府ご明達で強制とはいえ無償の元で身体の一部分を順番に機械化していたはずが、機械の身体を手に入れた人は気まで大きくなり幾度となく戦争や争いが絶えず段々思考や性格までAI化されていった。 全てが機械の"人"は新型、人体から機械となった()を旧型、と区別するようになった。  ────私は旧型だ。
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