犯罪日記

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彩羽は苦笑いを浮かべて、「大変だったよね。急に呼び出されて、いろいろあったし……」と、慰めるようにはにかんで見せた。 「ええ…いろいろあり過ぎて…なんか感情が追い付かないっていうか。結局、雪の葬儀もやってあげられなかったし」 生活保護を受けていた月影雪と萌は、民生委員によって様々な手続きが行われ、直葬した後、遺骨は市で数年間預かる事となるらしい。その後は合葬墓へと入ることになると聞いた。遠方の親戚など、身内が遺骨を受け取りに来ない限り、彼女たちは知らない人たちと一緒に墓で眠ることになるのだ。しかしそれも仕方ない事なのかもしれない。 「雪の身に何が起きてるのかも知らず…私ってばのんきに生活してて……。何にもやってあげられなかったなぁ……」 朱里が呟いた。それに対し、彩羽が首を傾げる。 「そう?そんなことないんじゃない?そんなにいつでも人のこと考えてられないよ。自分の事で手一杯なわけだし、人のことばっか考える人生って疲れるよ?朱里ちゃんはさ、やれることはやってたと思うよ。雪ちゃんを正しい方向に導こうと努力もしてたわけじゃん。まあ…雪ちゃんの親が親だったからそれもうまくはいかなかったけど、それでも間違いではなかったと思うよ?」
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