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思えば、大和に子どもの頃(今も一応子どもだけど)の話を聞くのは初めてだ。
もしも大和が小さい頃から近所に住んでいたら、こんなふうに一緒に遊んでいたのかな。
「なんか、タイムスリップだね」
真剣に水の中を見つめてそろそろと網を入れる大和を、私はしゃがんで見ている。
「どんぐり拾ったり木に登ったりさ。タイムスリップして、大和と一緒の子ども時代をやり直してるみたい」
ジャブッ
引き上げた網には、小さな魚が二匹入っていた。
大和はドヤ顔で私に網を振ってみせた。
「見たか! 大和くんは魚採りが天才的でした、って記憶の上塗りしとけよ」
「え〜。ちっちゃいの二匹で? レベル低すぎ! 私の腕を見ててよ」
魚採りは楽しくて、一匹でいいのに、なんだかんだと張り合って、二人で十五匹も採った。
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