【36か月】やすらぎのミルクココア(同窓会編)

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【36か月】やすらぎのミルクココア(同窓会編)

愛媛の実家に、高校の同窓会の案内ハガキが届いた…という。 同窓会の日は、愛媛に帰省しようかな…と考えていた時期だったので。 行ける!と思い、参加のところに○をつけて返信ハガキを出してもらった。 それを健ちゃんに言うと 「…………」 なぜか黙ってしまう。 友達は多いタイプじゃなかったけど、クラスメイトたちに会いたくて…つい参加にしちゃったの。 そう言い訳すると…。 「…だったらいいよ」 しぶしぶOKしてくれた。 だけど、心底OKとは思ってない感じ。 何をそんなに…嫌がってるんだろう…。 「条件がある。同窓会が終わったら、俺に必ず連絡して」 「…?……うん…」 変な健ちゃん…。 まあ、そんなこんなで健ちゃんは海外出張へ。私…たちは愛媛に帰省して。 同窓会当日を迎えた。 会場はシティホテルの大広間ということで、少し畏まっているようだったのでオシャレをした。 ミツハシ絡みの付き合いで、これまで着てきたネイビーブルーのパーティードレス。 …この1年で体型が急激に変わったから、入るか心配だったけど、なんとか着られた。 受付で「三橋…」と言いかけ…。 「鎌田です。鎌田、澪」と慌てて旧姓を告げる。 「鎌田澪さん…?」 受付にいた人たちは、出席簿を見て私の名前を探してくれる。 「ああ、あった。Cテーブルですね」 「はい、ありがとうございます」 頭を下げて、前方に歩を進めると、 「あんな綺麗な人、クラスにいたっけ?」 という声が、背後から聞こえてきた。 (ありがとう…! 綺麗な人だなんて言ってくれて、すごくいい人っ!) じーんと心の中で感動する。 Cテーブルに着くと、周りからマジマジと見られた。 「…もしかして鎌田さん?」 メガネをかけた優しそうな女性が、私に向かって声をかけてきた。 「うん、そうだけど…。同じクラスだった相原さんだよね?」 「そう、相原なつみだよ。鎌田さん、昔と雰囲気が全然違うね。ビックリ…した」 あれ、鎌田だってよ。 うそー! と、今では誰が誰だかわからないクラスメイトたちが騒ぎ出す。 「結婚…してるの?」 相原さんは、私の左手薬指の指輪を見て聞いてくる。 健ちゃんに「指輪は絶対してね!」と何度もしつこく言われてたから。 エンゲージリング、マリッジリングを両方忘れずにつけてきた。 相原さんの左手薬指にも指輪がある。 「相原さんも?」 「うん、うちも先月…」 「おめでとう!」  「ありがとう!」 えへへ…と、ニコニコと笑い合う。 話が合いそうな人がいて良かった。 相原さんは確か…学生時代もいつも「鎌田さーん」と気遣ってくれた、優しい学級委員長だ。おっとりしていて、話がしやすかった。気後れして私からはなかなか話かけられなかったけど。今こうして話できるのは嬉しい。 「鎌田?」 男の人の声が後ろから降ってきて、私は振り向いた。
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