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「本当、気にしないで。」
そう言っているけれど、その人は困った顔で、うんうん唸っている。
「あの、何かお手伝いできる事、ありますか?」
「えっ?本当?」
「はい。ご迷惑かけたので、ぜひ。」
「そりゃあ助かる。今、秘書が不在なんだ。」
秘書?
この人、いやこの方、秘書を雇えるぐらいの地位の人?
やばい。
私、とんでもない事をやらかしてしまったのでは。
「早速だけど、こっちに来てくれる?」
「はい。」
バケツを廊下の端に置いて、私は掃除のユニフォームのまま、その人に付いて行った。
着いたのは、ひらけたオフィス。
その中でも立派な部屋に通された。
「確か亀山君のパソコンは、ここだここだ。えっとパスは確か……あっ、開いた。」
その人はパソコンを操作して、水に沈んだ書類を出した。
「これを印刷するんだけど、10部冊子を作らなきゃいけないんだ。」
「10部ですか!?」
印刷して10部冊子を作るだなんて、そりゃあ1人じゃ大変だよ。
「これから印刷するするから、君は1部ずつホチキスで止めていってくれる?」
「分かりました。」
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