第1話 また今度

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「本当、気にしないで。」 そう言っているけれど、その人は困った顔で、うんうん唸っている。 「あの、何かお手伝いできる事、ありますか?」 「えっ?本当?」 「はい。ご迷惑かけたので、ぜひ。」 「そりゃあ助かる。今、秘書が不在なんだ。」 秘書? この人、いやこの方、秘書を雇えるぐらいの地位の人? やばい。 私、とんでもない事をやらかしてしまったのでは。 「早速だけど、こっちに来てくれる?」 「はい。」 バケツを廊下の端に置いて、私は掃除のユニフォームのまま、その人に付いて行った。 着いたのは、ひらけたオフィス。 その中でも立派な部屋に通された。 「確か亀山君のパソコンは、ここだここだ。えっとパスは確か……あっ、開いた。」 その人はパソコンを操作して、水に沈んだ書類を出した。 「これを印刷するんだけど、10部冊子を作らなきゃいけないんだ。」 「10部ですか!?」 印刷して10部冊子を作るだなんて、そりゃあ1人じゃ大変だよ。 「これから印刷するするから、君は1部ずつホチキスで止めていってくれる?」 「分かりました。」
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