コウモリ拾いました

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コウモリ拾いました

 なぜだかわからないが、俺のベッドの上に天使がいる。  キラキラと光を散らす金の巻毛。生まれたばかりのような、純白スベスベの肌。キュッと身体を丸め、赤子のようにすやすやと眠っている。  体型から判断すると、十代半ば――いや、まだ十三、四といったところか。  そしてなぜか素っ裸。  宗教画から抜け出してきた天使そのものだ。  このしみったれたおんぼろアパルトマンには場違いの、眩いばかりの神々しさ。  恐る恐る近づき、天使の顔を観察する。  長くカールした金の睫毛。新雪のような白い頬。その小さなくちびるからすうすうと、すこやかな寝息が漏れる。人形じゃない。幻じゃない。たしかに生きている。  不謹慎とは思いつつ、天使の下半身に目をやった。折り畳まれた太腿のあいだを覗き込み、確認する。  ――。男だ。  少しほっとしたような、がっかりしたような、複雑な気持ちが胸に渦巻いた。  さて俺がなぜこんな状況に陥っているかというと、たぶん原因はアレしかない。  仕事帰りに拾ってきた、うっかり者のコウモリだ。  俺の名はテオドール。仲間からはテオと呼ばれている。このパリには、腐って掃いて捨てるほどいる画家の卵のひとりだ。
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